先日、弊社が納品した報告書について、ある指摘がありました。
その内容について社内で検討した事をお伝えします。
今後同じようなことが無いよう、社内記録として残すのが目的ですが、同業の方で同じようなことが起こっていないか参考にしていただければ幸いです。
そしてこれが、県内企業の成果品の品質向上に少しでも貢献できればいいな~、と一人静かに企んでおります。
公図等の転写の縮尺がおかしい
先日、唐津市役所様より「公図等の転写の図面の縮尺がおかしい」との指摘を頂きました。
まず「公図等」とは、
国土調査等で作成された土地の境界を表す地図で法務局で管理されているものを言います。(ざっくりです)
我々が土地の境界を復元する際、まず最初に確認・参考にする図面です。
法務局で管理されている図面ですが、管轄の法務局に行ってお金を払えば(1地番500円くらい)誰でも取得することが出来ます。(自分の土地かどうかは関係ないです。)
ご自分の土地の形状が気になるときは、市役所の国土調査の図面ではなく、まずこちらの図面を確認されることをおススメします。
なぜかと言うと、法務局の図面のほうが権利的に上だからです。
話がだんだん逸れてきたので、その件についてはまたの機会にじっくり触れたいと思いますが、一言で説明するなら、、、
国土調査の図面は過程、法務局の図面は結果です。
どれだけ過程がよくても結果に反映されていなければ意味が無い・・・伝わるかな?(汗)
・・・
で、話を戻しますが、
公共事業の影響範囲を確定する用地測量では、法務局から取得した「公図」を資料として報告書に添付します。
今回、弊社が納品した報告書では、作成した「測量図」とこの添付した「公図」を重ねたときに合わない・・・という指摘だったのです。
公図等の転写の縮尺がおかしい理由
測量の成果である「測量図」にも法務局で取得した「公図」にも縮尺があります。
同じ縮尺で同じ地番の土地ならば、両図面を重ねたときにぴったり一致しなければいけません。
それが一致しない。
社内で話をして原因はすぐにわかりました。
それはずばり、
印刷設定!
コピー機の設定で以下のところにチェックが入っていたため、縮小して印刷されていたんです。
検証してみました。
実際にどれくらい変わってくるのか検証してみました。
弊社では「RICOH C4503」というプリンターを使用しています。
おそらくプリンターの性能による部分も大きいと思うので、一概には言えませんが、参考値ということでご参考までに。
まず、検証に使った図面はこちら。(注:画像の地番・座標値は架空の地番という事です)
1.画像の青○の所に書いてある座標値から、赤い四角の縦・横の長さ(距離)を求めます。
サンプルの地図は縮尺が1/500、計算したところ赤い四角の縦の長さは126m、横の長さは125mです。
2.プリンター設定の「実際のサイズ」にチェックをつけて印刷。
印刷した図面の縦と横の長さを三角スケールで計測すると、縮尺1/500で縦126.4mで横125.2mでした。
原図より若干伸びているということになります。
3.プリンター設定の「合わせる(F)」にチェックをつけて印刷。
2.同様に計測すると、縮尺1/500で縦121.0mで横122.0mでした。
予想以上に大分縮んでいます。折ってを重ねてみるとよくわかります。
検証を終えて・・・
A3サイズのファイルをA3用紙に印刷したにもかかわらず、思っていた以上に縮んでいたことに驚きました。
そして、そのことに気付いてなかったのもショックでした。
正確には気付いてなかったと言うよりも 気にしていなかった・・・
言い訳になってしまいますが、
我々がこの「公図」を使用する際、上の画像の青○の座標値を基に四角形(赤の四角部分)で補正をしてコンピューターに取り込んで作業を行います。
だからおそらく、データの図面の精度は確認しているから、紙で出力した図面を、添付資料という事で軽視していたのだと思います。
初歩的なミスで恥ずかしい限りです。
どの業界でもあるのかもしれませんが、コンピューターなどの技術が発達し便利になった反面、このような初歩的なミスが増えてきているような気がします。
すごい計算は一瞬で出来るのに、最後の足し算があっていない・・・というような。
システムに頼り切っているところがあるんですよね。
それと、
最終的な利用者(ここでは報告書を見る人)の立場になっていない事を気づかされました。
どんなに素晴らしい技術を持っていても、それが利用者のためにならなければ素晴らしいとはいえないですね。
最終的な人によるチェックの重要性と利用者の立場に立つ事を再認識しました。
反省して改善していきたいと思います。